肝炎と言えば、経口感染の「A型肝炎」、母子感染や性行為の「B型感染」、血液感染の「C型感染」がよく知られていますが、最近、「E型肝炎」にかかる人が増えているようです。
E型肝炎は、ウィルスに汚染された水や食物を食べたりすることで経口感染します。
そのため、衛生状態のよくない途上国を訪れた人が、帰国後に発病することが多かったようです。
E型肝炎患者数は、2011年頃までは年間50人程度だったそうですが、2014年には154人と3倍に増えています。
しかも、発症した人のほとんどは、途上国への渡航歴はありませんでした。つまり、国内で感染したということになります。
原因になっていたのは、生肉でした。2011年には生肉(ユッケ)で食中毒が起き、2012年に生の牛レバーの提供が禁止されました。
しかし、牛レバーの代替え品として「豚レバー刺し」が提供され、新たな感染源となっていました。
そこで、厚生労働省は、2015年6月より、「飲食店などで、レバーなど内蔵を含む豚の食肉を生で提供することを禁止」しました。
E型ウィルスに感染すると、2週間から2ヶ月の潜伏期間を経て、黄疸や食欲不振、腹痛、嘔吐、発熱などの症状がでます。
現在のところE型肝炎専用の治療薬がないため、症状に応じた対処療法を行い、自然治癒を待つしかないそうです。
まれに重症化し、急性肝炎などに移行し、死に至ることもあるので注意が必要です。
特に、妊婦の場合には、E型肝炎に感染すると、致死率が20%になることもあるそうですから、注意が必要です。
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予防するには、肉はしっかり火を通して食べること。豚肉の場合には、63℃の温度で30分以上加熱するか、75℃の温度で1分以上加熱することが必要だそうです。
また、生肉を掴んだ箸でサラダなどを食べると感染するこもあるので、焼き肉や豚しゃぶなど調理しながら食べるときには
生肉専用の箸を用意したほうがいいそうです。
豚肉のほか、イノシシや鹿の肉にもE型ウィルスがいることがあるので、注意が必要だとのことです。
豚肉や豚レバーと食べるときの注意点
①生肉やレバーなどの内蔵は中心部の赤みがなくなるまで加熱
②ハンバーグやつくねなどのひき肉料理は、中心部まで十分に火が通り、肉汁が透明になって中心部の色が変わるまで加熱
③飲食店やバーベキューなどで自分で肉を焼きながら食べるときも十分に加熱しないと危険
④生肉は専用のトングやはしなどを使い、焼きあがった肉や野菜などに触れないようにする
⑤生肉に触ったら、よく手を洗う
⑥生肉に触れた包丁やまな板などもよく洗う
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<情報参照元:日本経済新聞 日曜に考える版>